アウトリーチ、とは?

「手を伸ばすこと」、「手を伸ばした到達距離」のことで、もともと社会福祉事業分野でよく使われてきました。
今では音楽・演劇など芸術の分野でも『出前コンサート』等と称してこの手法が使われるようになり、たくさんのアーティストが演奏活動と併行して取り組んでいます。
クァルテット・エクセルシオは入善コスモホールにおいて2001年から始まった「芸術家滞在型地域活性化事業」に中心となって参加し、そこで初めてアウトリーチというものを知ることが出来ました。
幼稚園・小学校から老人ホームや介護施設、福祉施設等での演奏はそれまでもさまざまな機会に経験したものでしたが、「裾野を広げる、目的意識のある活動」として、はっきり認識したのは入善との出会いからでした。
それまではただ単に演奏家がお客様のところへ出向き、気軽に聴いてもらって、(多少の交流はあれど、)満足してもらうという曖昧なイメージだったものが、入善の活動を通して「何を」「どこで」「誰に」「どういったねらいを通して」「どうやって」聴いてもらうのかを深く考えるようになり、それは普段の演奏活動そのものに対する認識さえも大きく変える力がありました。
アウトリーチとは、その場だけで終わってしまうものではありません。アウトリーチを通じて音楽にふれあうことの喜びを体験してもらい、それまであまり出会いのなかった音楽の世界に、もう一歩足を踏み入れてもらいたい、音楽のすばらしさをより多くの人たちに知ってもらいたいという願いが込められている活動なのです。
弦楽四重奏は室内楽のなかでも最高に完成された形態です。それは過去から現在にわたる非常に多くの作曲家の作品の群を抜く豊富さを見るとよく分かります。 オーケストラはシンフォニーがあります。
室内楽には弦楽四重奏があり、それは人数の違いこそあれど内容的にはベートーヴェンの「第9」に匹敵するほどのパワーを持つ作品が少なくありません。
オーケストラは気軽に町の中を持ち運べません。
しかし弦楽四重奏ですから4人だけです。しかもピアノいらずなので場所の制限は殆どありません。(雨だけは大敵ですが・・・)
「第9」に匹敵する弦楽四重奏曲、それをあなたの町で身近に聴けるとしたら・・・?
敷居が高いと感じていた音楽が前よりも少し、自分に近づいて感じられると思います。
多くの人たちにそういった「音楽体験」をしてほしいと思い、クァルテット・エクセルシオはアウトリーチ活動に力を注いでいます!
これまでエクセルシオが行ってきたアウトリーチ活動では、たくさんの、殆どは演奏会という催し物自体に殆ど行かれたことのない方々が参加されました。
弦楽器のふるえる弦を見て、会場の空気が音の振動で揺さぶられるのを感じて、その4人で作る音楽の迫力に驚きもしながら、あたらしい感動を感じていただけています。
私たちはアウトリーチの演奏に対して、普段と変わらぬ力で取り組んでいます。
それは本物の弦楽四重奏を聴いて欲しいと思っているからです。
せっかくホールを飛び出しても、質の充実した音楽でなければそれはアウトリーチ活動の本質からはずれてしまう事になってしまいます。
年間60回以上の公演をこなす常設の弦楽四重奏団だからこそできる私たちの本物の室内楽を、より多くの人たちにそばで聴いて、見て欲しい。そしてもっともっと音楽が身近に感じていただけるように・・・
それが私たちクァルテット・エクセルシオの願いです。
次はあなたの町の、すぐそばで弾かせていただくことを楽しみにしております!